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東京高等裁判所 昭和48年(ラ)646号 判決 1973年12月07日

抗告人

加藤産業株式会社

右代表者

加藤正吉

債権者豊栄信用組合、債務者後藤英二間の水戸地方裁判所龍ケ崎支部昭和四八年(ケ)第九号不動産任意競売事件について、同裁判所が昭和四八年一〇月三日言い渡した競落許可決定に対し、抗告人から適法な即時抗告の申立てがあつたので、当裁判所は、次のとおり決定する。

主文

原決定を取り消す。

本件競落は許さない。

理由

抗告人は、「原決定を取り消し、更に相当の裁判を求める。」旨申し立て、抗告の理由については、「追つて理由書を提出する。」としながら、現在に至るまでその提出をしない。

職権をもつて記録を精査すると、不動産競売調書(記録七一丁)の記載によれば、本件競売期日において「競買価額の申出を催告した日時」は、昭和四八年九月二七日午前一一時三〇分であり、「競売の終局を告知した日時」は、同日午前一一時四〇分であることが明らかである。

そうすれば、本件競売を実施した執行官は、競買価額の申出を催告した時より満一時間を過ぎないで競売を終局しているのであるから、右競売期日における手続は、民訴法六六五条二項に違反し、右期日における競買人(抗告人)に対し競落を許可した原決定は、この点において違法であり、取り消しを免れない。

よつて、主文のとおり決定する。

(満田文彦 真船孝允 鈴木重信)

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